日本での仕事

麻酔科医の存在

こんにちは!

今日は昨日に引き続き、麻酔科ネタを一つ。

麻酔科医って、他のドクターと違って、患者さんと直接接する機会があんまりないと思います(麻酔科医にもペインクリニシャンや集中治療医、緩和ケア医など色々ありますが、今回お話するのは手術麻酔を主に行う麻酔科医のことです)。

皆さんが想像する医者像って、外来や病棟で白衣着て診察するドクターではないですか?

でも麻酔科医が直接患者さんとお話する機会は、手術前の診察、手術当日、手術後の診察、の3回だけなんですよね。

しかも手術当日は基本的に患者さんが入室したらすぐに麻酔をかけて眠ってもらいますし、手術後の診察なんて患者さんはまだ朦朧としていて(手術翌日だから)、お会いしたことも覚えていらっしゃらなかったりします。

なので、実質ゆっくり患者さんとお話できるのは、術前の診察時だけなんです。

とは言っても、その術前診察を1日数件こなさなければならない時も多く、そんな時は診察+最低限の会話で終わってしまうこともよくあります。

そのため、麻酔科医って患者さんに覚えてもらえないんですよね・・・(泣)。

もちろん、麻酔科医の仕事は手術中の患者さんの全身管理をすることであり、術中・術後に患者さんが痛みや大きなトラブルなく過ごせたら、もう万々歳なんですけどね。

でもそんなある時。

術前診察のために病棟を回っていた時でした。

突然、「先生!」と呼び止められて振り向くと、そこには一人の若い女性。

1週間前に私が麻酔をかけた患者さんでした。

「先生の麻酔のおかげで、術後全然痛みがありませんでした。ありがとうございました。退院前に直接お礼が言えて良かったです。」

そう言うと、その患者さんは立ち去っていきました。

・・・

その時の私の気持ち、想像つきますか?

顔を覚えてくださっていたのも嬉しかったし、術後にずっと私にお礼を言いたいと思ってくださってたなんて・・・!

実際は術後診察でお会いした時に、お礼を言ってくださってたんですけどね(手術翌日で朦朧としていました)。

こう書くと、感謝してほしいのかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが(もちろん感謝されると嬉しいですが)、そうじゃないんです。

麻酔科医の存在を覚えて頂いていたことが嬉しかったんです。

先ほども言ったように、患者さんが問題なく手術を終えて退院されることが、麻酔科医にとって何よりも大きな喜びです。

でもこんな患者さんの一言が、時に仕事がきつくて挫けそうになる麻酔科医の心の支えになったりします。

今も一生懸命働いている麻酔科の同僚達が、わずかでも患者さんの記憶の片隅に残るといいなあ、と願うプー子なのでした。

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